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消費者に“好かれる”広告は、実現可能か?|NewsPicks Brand Design

広告はどう進化できるか
『広告をもっと、滑らかに。』Vol.2

消費者に“好かれる”広告は、
実現可能か?

2022/2/17|CCCマーケティンググループ|NewsPicks Brand Design

「全く興味のない広告が出てくる」「何度も同じ広告を見せられる」と、嫌われることも多いWeb広告。

データは活用されているはずなのに、なぜこのような状況に陥っているのだろうか。Cookieレス時代の到来で、この状況は良くなるのか、それとも悪くなるのか。

消費者も企業もWin-Winになれる心地よい広告のあり方を、インターネット創成期に、インターネット広告の仕組みを作り上げた功労者の1人であり、横山隆治事務所代表取締役で現在CCCマーケティングでエグゼクティブ・アドバイザーを務める横山隆治氏と、吉野家のマーケティング戦略を統括するCMOの田中安人氏に話を聞いた。

広告の主導権は180度変わった

── 一般的に広告は、消費者から嫌がられる存在ですよね。原因はなんだとお考えですか。

横山 今の時代、マーケティングコミュニケーションの主導権が、広告を発信する側から受け取る側に移っている。

その事実に気づかないまま配信されている広告が多いから、不快に思う人が多いのではないでしょうか。

まだモノも情報も少なかった時代は、商品や会社を一方的にアピールする広告を打つだけでよかった。ですが、今の消費者は自分で情報も取りに行けるし、商品やサービスの選択肢もいくらでもある。

わかりやすく言い換えれば、広告を配信する企業より、受け取る消費者の方が“偉く”なったんです。 たとえば、Netflixなどのコンテンツ見放題サービスに慣れると、10年前は当たり前だった「毎週月曜9時にテレビの前にいなければいけない」というテレビの制約から解放されていて、編成権は完全に視聴者にあります。

これも、コミュニケーションの主導権の移り変わりを示す例だと思います。

田中 非常に共感します。加えて、企業の広告発信がうまくいかない要因には、企業の「言っていることと、やっていることが違う」状態があると思います。

つまり、言行一致ができていない

横山さんがおっしゃる通り、消費者は自分で様々な情報を検索できます。企業が「環境に配慮しています」というテレビCMを出しているのに、実はその商品をつくる過程で甚大な環境汚染をしていたなんて事実があれば、消費者はそれを簡単に見透かしてしまうわけです。

そういった言行不一致を防ぐためには、広告においても企業のパーパス(存在意義)を定めることが欠かせない。

そのパーパスを起点に、商品開発もマーケティング戦略作りも、CMのクリエイティブ制作も行う。そうすれば、企業の“人格”は自ずと定まってくるのではないでしょうか。

ABテスト、本当に意味ある?

── 一方でWeb広告は、消費者の閲覧履歴などのデータに基づいて、最適にターゲティングすることが、技術的には可能ですよね。その割にはまだ、全く興味のないWeb広告やYouTube広告がバンバン出てくる印象です。

横山 私もそう思います。これは、Web広告のターゲティングが目的化してしまったことが、要因の一つではないかと。

本来ターゲティングは、良いメッセージやクリエイティブを最適に届けるための手段でしかないんですよ。対象を絞り込むことで、一番刺さるメッセージを探し出そうと。ですが最近は、その立場が逆転してしまっている。

使うクリエイティブは変えないまま、「上野に住む20代」や「運動に興味がある層」みたいに、どこもかしこも絞り込む。その上で、クリック率とかコンバージョン率のような数字だけを見て、「この層には刺さったね」などと議論している。

ですがこれでは、ターゲティングの本来の目的である「セグメントした対象に一番刺さるクリエイティブを探し出す」という効果は、全く得られていないですよね。

だからこそクリエイティブの改善にはつながらないし、消費者としてもいつも同じような広告を見せられている気分になるのではないでしょうか。

── ただ、Web広告の効果を最大化するために、ABテストはやりますよね。ABテストは、一番刺さるメッセージを当てる試みではないのでしょうか?

横山 クリエイティブを2種類つくって、どちらがより効果があるのか測るABテストですよね。ですがそもそも、そのAとBのどちらか一方が必ず、本当に良いクリエイティブなのでしょうか。

たまたまつくった二つのどちらかで議論していますけど、実は質の悪いYとZの「どちらがよりひどいか」を調べているだけかもしれませんよね。

田中 確かにそうですよね。私は広告は基本的に、創造的で面白くなければいけないと思うんです。

こんなにも情報が溢れている中でも、少しでも消費者に振り返ってもらわなければいけないのが広告。

そのためには、クスッと笑ってしまったり、ちょっとお茶目だったり、世の中の本質をついていたりと、広告を出す側も、全力で消費者の心を動かしにいかなければならないんです。

昔はマスメディアの力がすごく大きくて、広告が世の中に与える影響も大きかった。その分、「この広告は本当に必要なのか」から徹底的に議論していたし、思いつく限りのクリエイティブを考えて吟味していました。

でも今は、広告を打つハードルはかなり下がりました。大量に打てるからこそ、PDCAも高速で回さなければいけません。こういった背景で、もしかしたら広告においてクリエイティブに力を入れる余裕がなくなってきてしまっているのかもしれません。

Webマーケティングは原点回帰する

横山 広告を当てることによって、逆にネガティブな結果を生むこともたくさんあります。もう購入した商品なのに、広告が何度も表示される経験を、みなさんもお持ちだと思います。

これを防ぐには、リターゲティングの対象を丁寧に設定して、購入した人は排除すればいい話。ここで手を抜いてしまっては企業も消費者も誰も幸せになりませんし、そういう積み重ねが「Web広告ってうざいよね」という印象につながってしまうのだと思います。

だからこそ、クリエイティブにしっかりと労力を割いた上で、データをきちんと精査する。「効率」ではなく「効果」を追求するターゲティングを心がけるべきです。

── そういったリターゲティングに活用されてきたのがCookieですが、Cookieが使えなくなる時代がいよいよやってきます。広告マーケティングのやり方は、どう変わるでしょうか?

横山 はっきりと申し上げると、短期的にはマーケターの仕事はやりづらくなると思います。

今お話ししたような、あまり好ましくない使い方もされていたのは事実ですが、サイトを横断したターゲティングには明確に役立っていましたし、それが使えなくなるのは純粋に痛手ですよね。

田中 そういう意味で言うと、マーケティングは原点回帰するんじゃないでしょうか。

仮説を立てて、必要なデータを集めて、検証する。これが本来のマーケティング施策の順序です。

ですが最近ではデータが継続的にかつ自動で取れるようになり、データを集めてから施策を立てるという順序になってきてしまっていると感じるんです。

正直に言って、仮説のないデータってゴミ同然だと思うんですよ。そう考えたときに、今後はCookieが使えないから、とりあえず自社の“ありもの”のデータを使おうなんて、もってのほかです。

横山 そうですね。今の時代は、施策の結果がデータで実証できる。仮説を立てて施策を実施したら、その仮説が当たっているかどうかが数値でわかるということ。これは大きいですよね。

私は昨年から、CCCマーケティングでアドバイザーをやっているのですが、Tカードにひもづくデータは、Cookieレス時代の選択肢の一つになると思います。

CCCマーケティングが持つデータにおいて特筆すべき点は、Tカードを通して、リアル店舗とECを横断した購買データが集まっていること。

広告において活用するなら、「この広告を見た人が、実際に商品を買ったのか」という、ものすごく明瞭な効果検証ができるんです。

年間利用者数が7000万人の規模で、プラットフォーム横断のデータが集まっているサービスは、類を見ませんね。

マーケターは、外に出よ

── CCCマーケティングは昨年、テレビCMとYouTube広告の販売を始めました。従来の広告販売事業と、何が違うのでしょうか?

横山 ここで実はポイントになるのが、CCCマーケティングが、テレビCMとYouTube広告の販売事業の両方を始めたことなんです。両方やることで、テレビとWebの広告指標を統一できるんですよ。

これまでテレビは、調査対象地域の世帯や個人全体に対して何%が視聴したかという「視聴率」で結果を測り、Webは何回広告表示されたかという絶対数としての「インプレッション数」で結果を測ってきた。

この二つの指標が異なっていたため、複合的にプロモーション戦略を立てるのが難しかったんですね。

CCCマーケティングのデータを使ってテレビとWebの指標を統一できれば、テレビとWebのリーチ補完や相乗効果の醸成を促進したり、両者を合わせた接触回数を評価したりすることも可能です。

田中 実はこれってすごいことなんです。吉野家もTポイントを導入していますが、テレビとWebの指標が一致することで、テレビCMを単体で配信するのではなく、Web広告を打った後に、テレビCMを投下すると効果が出るのか、といった検証ができるようになるんです。

さらに、私たちがCCCマーケティングと取り組んでいるのは、「吉野家で牛丼を買ってくれる人がよく見ている番組やサイトで、新商品の広告を流す」といった絞り込み。

これも店舗の購買データとテレビの視聴データが、TカードのシングルIDで結び付いているからこそ、可能になることですね。

── これからさらに、リアルとデジタルを横断したマーケティングができるようになっていくと。そんな時代に、マーケターにはどのような素質が求められると思いますか?

横山 Tカードのデータもそうですが、膨大な量から必要なデータを選び取るスキルが重要になります。ビッグデータの“切り取り方のセンス”が試される、というところでしょうか。

そのセンスを磨くには、実際の現場を見て店舗の棚を見て、お客さんの表情を見るしかないと思います。数字だけ眺めていても、実際に何が消費者に喜ばれるかは見えてきませんから。

田中 本当にそうだと思います。渋谷の街を歩いていて、「こういう広告の傾向が強くなってきたよね」と感じるその肌感覚が、何より大事。

その肌感覚が積み重なることで、世の中とか時代の空気をなんとなく感じ取り、消費者の心を動かす広告クリエイティブ、配信の仕方ができてくる。

マーケターもデータ活用の時代、なんて聞くと、オフィスにこもってパソコンと向き合っている姿を想像するかもしれませんが、むしろ逆。マーケターは、どんどん外に出た方がいいと思います。

執筆:シンドウサクラ
撮影:大橋友樹
デザイン:月森恭助
編集:金井明日香

本記事は、NewsPicks Brand Designにて作成・掲載されたものを当社で許諾を得て公開しております。

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